品番なんか知るか
品番をお教えいただけますか?
メルカリのコメントだ。
2年前に出品したCDにコメントが来ているよ。
めんどくさいね。
ジャズサックスのケニー・ギャレット「ソングブック」。
20年以上前の名盤だけど散々聞いたしMD(死語)にも入れたからもういらないんだ。
品番を教えてほしんだってさ、ヤマッシー。
品番なんか自分で調べろよ・・・私は今から寝るんだ。
ヤマッシーは寝たまま段ボールが積んである部屋の一角を見た。
ヤマッシーは「いらないもの」を段ボール8箱に詰め込んでいる。
このCDも8つある段ボールのうちのどこかにあるはずだ。
(探すのめんどくさい)
ヤマッシーは寝床から微動だにしなかったが、
思い直してとりあえず品番をググった。
そしてすぐに返事を書いた。
WPCR-27947
すぐ返事して偉いねヤマッシー。
タスクを無事終えた私は目を閉じた。
ぐっすり眠れるはずだった。
悪夢の始まり
寝ようと思ったら、メッセージが来ていた。
ありがとうございます
日本版ですね
購入させていただきます
は?
何で購入したのかわからない。
「日本版だから購入します」だって。
気持ち悪いね!
「CDが○○版なら購入します」なんてことある?
いやない。初めて聞いた。音が出れば良くね?
そんなことを気にして買う奴見たことないよ。
どういう買い方だよ。
じゃあ何?
品番ってひとつじゃないってこと?
この人の意図がわからないよ。
めんどくせえなあ!
そうだ!
キャンセル申請!
とりあえず「ヤマッシーのCDが日本版ならそのまま売ればいいんだ」と思った私は、
めんどくさい気持ちを我慢して夜中に段ボールを開け、CDを探しだした。
CDは案外簡単に見つかりケースの裏面には、
Made in Germany
と書いてあった。
つまり、誤購入されたってことだね!
品番を確認したがどこにも「WPCR-27947」は書いていなかった。
ではこれの品番はどれだ?
字が小さいからわかんない。
いやー、世の中には人の上げ足をとって困らせて楽しむヤベー奴がいたもんだわ。
さすがメルカリ、民度が低い。
はいキャンセルと。
キャンセル内容
キャンセル理由:[購入者が誤って購入した]
購入者はなぜだか日本製と確信し購入したが、この製品が日本製であることを私が確認出来ず、トラブルになることが予想されるため
私はこの内容でキャンセル申請をした。
購入者が間違えたんだよ。
CDは音が出ればいいんだよ。
私は悪くないよ。
キャンセル申請、却下される
しばらくしてメルカリから「キャンセル申請を取り下げました」というメールが届いた。
申請の取消に伴い、取引メッセージを再度ご利用いただけますので、
キャンセル理由と今後の対応についてお話し合いをお願いいたします。
なんでや!
取引メッセージを再度ご利用いただけます、じゃないよ。
何でメリットみたく言うとん?
クソデメリットだよ。
どうしてこうなったのかというと、
メルカリがさっきの文章を敵に直接見せ、
敵が同意すればキャンセルが成立する仕組みだったらしい。
さっきの文章・・・
キャンセル理由:[購入者が誤って購入した]
購入者はなぜだか日本製と確信し購入したが、この製品が日本製であることを私が確認出来ず、トラブルになることが予想されるため
何やってるんだよメルカリ・・・
直接見せたらだめじゃんこんな煽り文。
あってはならないことが起きてしまいました・・・
敵、おこ
再度開かれたバトルフィールドに早速コメントが。
「購入者はなぜだか日本製と確信し購入したが」 とおっしゃっていますが、・・・(略)・・・
この一連の行為のどこが「なぜだか確信し購入」となるのでしょうか?
この品番が真実であれば堂々胸を張り取引していただきたいと思います。
品番が真実ならばって、品番は真実だよ?
真実じゃないならそれはグーグルのせい。
なんだよ「堂々胸を張り取引しろ」って。
そもそもCDなんて音が出ればいいんだよ?
・・・おい、何を言うかヤマッシー!
ヤマッシーがめんどくさがって適当こいたんでしょ?
はやくちゃんと謝るんだよ、ヤマッシー!
・・・私は返事を書いた。
単に品番を聞かれただけなのでインターネットで調べてお伝えしただけです。手元の製品はmade in germanyです。キャンセルしてください。
もちろん私は抵抗するで?拳で!
虚無のレスバトル
それはきちんと品番を調べてない、ということでは無いですか?
品番と言うのは各国どころかそれぞれ改定発売する毎に改められてそれぞれ違う品番が付くものです。その品番を商品を確認せず、インターネットで調べるとは、一体…呆れてものが言えません。
「きちんと調べてない」
「呆れてものが言えない」だって。
大正解。その通りなんだけど情緒がうざいですね。
少し落ち着いてほしいです。
ヤマッシーは返事を書いた。
そんなマニアックなことは知りません。あなたの望むものは持っていないのでキャンセルしてください。
この言い草。屁理屈。
ちょっとヤマッシー、なんでごめんなさいができないの?見損なったよ。
それはね、私が日本版を持っていない以上、
私は何もしてあげられないからなんだ。
謝っても仕方ないんだよね。
それとも非を認めて日本版をどこかで買い、それを680円でプレゼントすべきなの?
それは絶対違う。
したがって敵はキャンセルするしかない。
それなのに対話を続けている。
このやりとりは何の価値もないまさに虚無なのだ。
虚無バトル2日目・・・
敵はとても返事が遅い人だった。
バトルは翌日にも持ち越されこんなメッセージが来ていた。
同名CD版でもモノラル版とステレオ版、初期版、リマスター版とではその度毎に品番が新たになるってことは常識ですよ。マニアックな事だなんて、とんでもありません。
知らんわ。キャンセルしろや。
これは一体、何目的の会話なのだろう。
キャンセルはしてくれないのだろうか?
目的のみえない雑談、ゆっくり日をまたぐ虚無に疲れてきた。
ここでヤマッシーが落ち度を認めて謝ったら済むような気もする。
もとはと言えば品番は1通りしかないと思い込んだヤマッシーが悪いのだ。
これは気持ちの問題なのだ。
そうだ、謝ろう。
これからも社会で生きていくんだから・・・
私は返事を書いた。
ではそのマニアックな常識が通じるCD屋で買ってください。海外版なら買わないが日本版なら買うなんてマニアがすることでしょう。
こちらはフリマアプリで不用になった所持品を処分しているだけなので何も知りませんよ。この製品に海外版や日本版などいろいろあることも知りません。
わたしは「本体の製造番号(ロット番号、シリアル番号)」を聞かれたわけではありません。「品番」を聞かれたから品番を答えただけです。
実質あなたは何も損をしていないのだからはやくキャンセルして他から買ってください。
謝るぐらいなら死を選ぶ。
本体記載の品番を見ろなんて言われてませんからね。
こんなことになるならほんと、はじめから無視すればよかった。「品番をお教えいただけますか?」などという雑なリクエストは。
実質何も損をしていないんだからキャンセルしてくれ。私はお金を得ていないし、敵もお金を失ってはいないのだ。
CDうんちくジジイのレスポンスが遅く、2日目はたったこれだけで終了した。
3日目、信じられないことにまた「常識かマニアックか」の議論の続きが来ていた(メッセージの内容はスクショし忘れた)。もういいよ!
そしてこちらのキャンセル要求には一切応じてくれない。
そのメッセージに対しヤマッシーは「あなたにお売りするものはありません。お引き取り下さい」と返信した。これ以上のやりとりは無駄だ。
自己欺瞞に心が壊れそう。本当は一言謝りたいのである。落ち度はヤマッシーにあるのだから。
でもできない。メルカリがさせてくれないのだ。これはすべて民度が低いメルカリのせいである。
そうだ!
そもそも全部糞メルカリのせいだ!
ヤマッシーの怒りの矛先はメルカリへと向けられた。
強制執行へ
「マイページ→お問い合わせ→トラブルになった」という項目から、事務局宛てに下記のメッセージと写真を送った。
(出品者は)商品写真を掲載しており、製品が日本製でないのはCDケース帯の色で一目瞭然であるにもかかわらず、私の商品説明間違い(誤って日本製の型番をお伝えした)を理由に商品発送を迫られている。
私は相手の所望する日本製を持っていないため「購入キャンセル」をお願いしたが却下され困っている。メルカリの方で強制的にキャンセルにしていただきたいです。
思い出の品を処分するのに最後に嫌な思い出が追加されてしまいショックです。メルカリは二度と利用しない。
実はケースが違うので(帯の色は日本版は黒でドイツ版は透明)、品番を確認するまでもなく写真を見れば日本版ではないことがわかることを強調したヤマッシー。
思い出の品を処分するのに最後に嫌な思い出が追加されてしまいショックです。
などという「それあなたの感想ですよね?」と言われかねない陳情めいた文もしれっと付け足しておいた。
「メルカリは二度と利用しない。」と不満も表明。
対応には数日かかるそうなので、ヤマッシーは気長に待とうと思っていた。
しかしなんと、ものの1時間で神メルカリ様は対応して下さったのだった。
本取引は、取引状況を確認のうえ、事務局でお客さまに代わってキャンセルさせていただきました。
おお、神。
こうして虚無のバトルフィールドは消滅したのである。
あっけない幕切れだ。
ヤマッシーの心のこもった陳情が効いたのだ。
こちらの言い分が全部通った・・・。
正義は勝った、と言っても過言ではない。
ご満足いただける取引を提供差し上げられず、誠に申し訳ございませんでした。
メルカリが謝るってことは、ヤマッシーは悪くないのだ!
学び
出品者の都合によるキャンセルにも関わらず、特にペナルティもなくキャンセルできた。
今回の出来事からいくつかの学びがあった。
学び1
メルカリユーザーの「品番をお教えいただけますか? 」には、
「本体記載の品番を教えてください。日本製ならば即購入します」
の意味が含まれている。
メルカリユーザーのコメントには裏の意図が隠れすぎている。無視一択である。
学び2
「品番をお教えいただけますか? 」 という丁寧な質問に対して、
「WPCR-27947」とだけ返信してくる社会不適合者からは絶対に物を買ってはいけない。
学び3
メルカリでは出品者がもう売る気が全くなくてキャンセルしても、
購入者によって一方的にキャンセルが破棄され、
トラブルに発展しかかっている出品者と購入者だけのヤバいチャットルームが開かれる。
「戦いの行く末を見届ける者が存在しない野蛮な空間」で延々戦わされるのだ。
解決するわけがない。
学び4
失礼な対応をされているのに口調が荒れなかったあのCDオタクはとてもえらい。堂々胸を張ってほしい。
まとめ
最終的にこちらにペナルティがなかったということは、
ヤマッシーはメルカリ認定の優良ユーザーだということだ。堂々胸を張っていきたい。
逆に相手は害悪ユーザーだったということである。
最後に、「メルカリは二度と利用しない」と言ったが、
まだポイントが残っているのでこれからも堂々胸を張り取引していこうと思った。
いじょうです。
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